あのひと言。
2025.9.6いまも時折思い出すひと言がある。日々悶々としていた40年以上前。僕は20代で、誰もがそうであるように、感じ、想い、考え、焦っていた。明け方、何の不安かわからないが、夢の中で押しつぶされそうになって、ほとんど叫ばんがばかりに飛び起きていたあの頃。
僕は当時、実家の米屋で働いていたが、仕事にはあまり身が入らず、釣りばかりに熱中しつつも、本や雑誌を片っ端から乱読していた。僕の想いや考えに少しでも共感する友人はほんの数人で、そのあまりのマイノリティ感に苛ついてもいた。僕は誰彼となく議論をふっかけ、答らしきものを必死で探していた。そんなある日、店にやって来た営業の青年がいた。
年齢は僕の少し上。店の前で話し込んだ。話の中身は覚えていないが、ひと言だけ強烈に心に残ったフレーズがある。理解者の少なさを嘆いた僕に、彼は「あのさ、親友なんて、人生でひとりいれば御の字だよ」。頭を殴られたような気分だった。抱えていた重いものが一気に軽くなった。いま改めて御礼を言いたいくらいだ。あの時の西陽は一生忘れられない。
by 江副 直樹 2025-9-6 8:08



