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連休最終日、日田は霜の降りる氷点下の朝。日中はのどかに温まって、家族でゆるりと。

一昨年から日田の住人になって、昨年2月からは大原に住み始めた。昨年年明け、大原神社の敷地でどんど焼きを見た。村でも経験はあったが、大原のそれはより厳かで、夜空に上がる紅蓮の火柱が素晴らしかった。来年は家からすぐだねと話し合ったものだ。

極寒期の2月に引っ越して、2回目の冬を迎えた正月。松の内が明けた11日、大原神社の敷地に、青々とした孟宗竹で立派な左義長が組まれる。門松や注連縄で迎えた歳神を、注連縄や前年の御札を燃すとともに、送り出す民間信仰らしい。そんな文化的背景に惹かれていると言うより、ただ闇夜を煌々と照らすあの火をまた見てみたいという気持ちだった。
この地で一通り四季を経験した。寒が緩み梅と桜の春、酷暑と蝉時雨とホタルの夏、涼しい山おろしが吹き赤や黄が目立つ秋、そして霧と霜と時々雪の冬。ようやく正月の気配が薄れた頃、凍てつく夜に行われるどんど焼き。神主の祝詞から始まり、男衆によって着火されると、たちまち猛々しい炎となった。竹のはぜる大きな音が遠くまでこだましていく。

宿題は常に抱えて、呻吟しているが、進捗感に乏しい。これを正月惚けというのか。

長い竹棒の先に種火を持って、男衆が左義長に火を放つ。クライマックスが近づく。

焚き火の楽しさと通ずるものがある。白っぽいオレンジ色の炎は、見ていて飽きない。

時折、こうして美しい火の粉が吹き上がり、わらわらと僕らの上に落ちてくる。

終盤。炎は小さくなり、白煙が境内に広がる。供されるぜんざいをいただきながら。

by 江副 直樹 2015-1-12 22:10 
EZOE naoki

田舎を拠点のプロデュース稼業。その日々仕事雑感、問わず語り。

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