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今日から師走。紅葉は落葉に変わり、地表を染め、色を失っていく。

冬、周囲を山々に囲まれた日田盆地は、度々霧に覆われる。市内を貫流する筑後川とその支流群から、霧が立ち上り、一帯に流れ込む。地元の人々は、これを底霧と呼ぶ。放射冷却の朝、その傾向は顕著になり、濃霧が立ち込める。これが得も言われぬ風情なのだ。

朝の散歩は、この霧の中を歩くことになる。霧は音を吸収するのか、鳥たちの声も少ない。鳥たちも、五里霧中では飛び回れないのだろうか。静かな散策。霧にかすむ森がいつも以上に深く感じる。その向こうには街があるはずだが、それもまるで存在しないような気配だ。目や耳に入る情報が減って、乱されず穏やかな心持ち。幽玄。そんな言葉を思い出す。
ところが、底霧は1日中街に溜まるわけではない。朝陽が上がると、霧は徐々に晴れていき、いつしか蒼い空が現れる。底霧は、抜けるような快晴の前触れでもある。これはとても意外だった。幻想的な霧は、決して沈鬱な気候の象徴ではなくて、明るい晴れの日の予兆として川から湧き上がる。この因果に気付いてからというもの、朝の霧がますます好きになった。

福岡で授業と打ち合わせ。明日はたけたの食べ方の定例と別件の打ち合わせ。

隣の弓道場から見たわが集落。上ってくる朝陽がグラデーションをつくる。

神社に上がり南を眺める定点。その先には津江の山塊。飽きないポイント。

週末足を延ばすコース。冬の田圃の向こうに鎮守の森が広がる。

家に戻る頃には、周囲は随分明るくなってくる。そろそろ街も始動の時間。

by 江副 直樹 2016-12-1 13:01