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朝の冷え込みが緩んできた。戸外に出るときの覚悟が要らない季節。春だなあ。

ヤマメ釣りを趣味とする方なら、3月1日の特別な感覚はよくご理解いただけると思う。前年の9月末日をもって禁漁期に入っていたヤマメ釣りが、これから7ヵ月間解禁となる。雪の残る早春から、残暑に灼ける晩夏まで、繰り返される天国と地獄。

3月初日は、言わばヤマメ釣りの正月。初旬は幕の内といった趣。毎年、準備もそこそこに川に立ち、流れの匂い、瀬の音、身を切る風、枯れた川岸にまた触れるとき、己が生きていることを全身で再確認する。僕の通うフィールドでは、3月と4月が最良の季節。釣り人がライズと呼ぶ、水面で羽化する羽虫をついばむヤマメ。それを好んで狙う釣りの好機。
5年前から、6月から9月の間は鮎の友釣りという、さらに因果な釣りに現を抜かしているので、ヤマメとの戯れはわずか2ヵ月に過ぎない。それだけに、春の訪れとヤマメ釣りは、華やかさを増す日々の中で、胸の奥まで染み込む大切な歳時記だ。カレンダーを眺めているのとは、決定的に異なる自然体験の蓄積。かけがえのない一時が今年もやってきた。

ひと息ついている感じだが、たちまち怒濤が押し寄せるに違いない。しばし休息。

最初の1尾。

毎春、最初の1匹を釣るとホッとする。じっと眺めていたくなる。

半年ぶりの流れ。

今年もやってきた高原の川。あまり大物は釣れないが大好きな川。

氷雨の洗礼。

春先の冷たい雨。人間には不快だが、釣りは往々にしてグッドコンディション。

大分県某所。

もう30年以上フライロッドを振っている。川を這いずり回っている。

by 江副 直樹 2012-3-7 22:10