ここから本文です

裏道の先に。

2018.7.19

あの頃の気分をどう表現すれば正確に伝わるのだろう。メイン集団からの脱落感、いわゆる挫折感のような負の空気の中に沈んでいた20歳前後。大学に入ったものの、僕の心身は新たな状況に適応できなかった。想像もしていない展開に、焦燥と失望に苛まれた日々。

しかし、家業の米穀店を手伝い、耽溺した釣りのために公務員をめざし、失敗。釣りの同人誌に送ったおふざけ記事が、名にし負う同人たちに評価されて、折しも知られ始めたコピーライターなるものになれるような気がして、挙げ句本当に売文稼業となり仰せて、それでも飽き足らずプロデュースを生業にすることになった。その間、住む場所は田舎に移った。
師匠のいないプロデュースはヨロヨロしながらも20年を超え、習ってはいないデザインの持論は、専門学校や大学で披瀝する機会が増えた。魚釣りは日常の中に収まり、我がスタイルはようやくできつつあるのかもしれない。つまり、道は一本ではなかった。裏道、杣道、獣道。高3になった長男と進路の話をした。メインストリートだけに目を奪われるなよ。

裏道は概ね寂しい。同じ道に他人がいないことに耐えられるか。

迷うこともなく、全速で飛ばせる安逸がある。視界は意外と狭い。

そもそも、道を作るという手もある。もっとも、そのハードさたるや。

それはひっそりとそこにあるかもしれない。気づいた者だけが登れる道。

by 江副 直樹 2018-7-19 8:08