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苦くない薬。

2019.3.22

昔の諺、格言の類には、短く平易なフレーズで、見事に真理を言い表しているものが少なからずある。古今東西に通用し、この先も言い伝えられて、表現としても上質で、改めて見るたびに感心することしきり。今回のテーマの「良薬は口に苦し」もまさにそのひとつ。

プロデュースは医者によく似ている。一番の勘所はいかに苦い薬を、ということは良く効く薬を、苦さを忘れて飲んでもらうかに尽きるのではないか。まあ、すべての説得、教示はそうなのだが、回りを見渡していると、得てして口当たりのいい、ということはあまり効かない薬を渡してしまうケースが意外に多い。薬どころか、緊急手術が必要な時でさえだ。
患者に要求されて、欲しがる薬をそのまま与えるのは藪医者だけど、クライアントの要望に応えるのは誠意というもうひとつの原則の間で迷走し、中途半端な処方箋を書いてしまうのだろう。世間で上滑りの人気を得るサービスは、おおよそこのループに陥る。そして良貨も含んだ方法論全体が沈んでいくのだ。時折触れるテーマだが、一向に減る気配がない。

口当たりのいい薬、耳障りのいい診断は可能だと思うが、迎合にならぬよう。

出張用ピルケース。左が毎日飲む痛風の薬。右がもしもの時のロキソニン。

by 江副 直樹 2019-3-22 9:09 
EZOE naoki

田舎を拠点のプロデュース稼業。その日々仕事雑感、問わず語り。

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