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南の海には、強大な台風19号が発生するも、初めて訪れた徳島は穏やかに晴れていた。

徳島にはデザインフォーラムのレクチャーを乞われてお邪魔した。地域活性化の手法についての話だったが、その他のプロジェクトでも共通の原則論について事例を交えながら解説。商品、情報、空間を総合的に捉える総合デザインのことなどを中心にお話しした。

その中でも、商品やサービス、つまり換金物のアピールの仕方については、毎回力が入る。スペック訴求ではなく、ストーリー訴求をという近頃毎度の繰り言。クリエイティブの本質は、感覚野に訴えること。それを僕は、履歴書じゃなく、ラブレターでと言ったりする。あるいは、説明じゃなく、表現でとか。履歴書的な説明の最たるものが、無味乾燥な数字。
組織内では、さまざまなアイデアを数字で示せと迫れることが多発する。データ化された事象は、あたかも合理的なようだが、実は大切なものから見えなくなる。量と価格だけで表示されても商品のこだわりは通じない。そうではなく、伝えるべきは、その主体、背景、経緯。そしてそれは、広義のデザインで象徴化して届けられる。発信は物語でなければね。

徳島から戻ったら、来週は宮崎諸塚、その次は淡路、その次はまた東京。むむむ。

ある仕事で、西日本最大級のワインセラーを見学。ボトルの後ろには膨大な物語が。

ブドウ生産の話、醸造の話、料理の話、文化の話、等々。ワイングラスもまたそのひとつ。

夕陽に浮かび上がる赤ワイン。こんなにストーリー豊かな農産加工品も珍しい。

文化は広さと厚み。主役の周辺に生まれる知恵と造型。ワインコルク開栓の周辺。

by 江副 直樹 2014-10-9 22:10