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日田の底霧。

2015.10.24

濃い霧が立ちこめる朝。周囲が白み始めてこの霧を見ると、冬を思い知る。

もう後数ヵ月で、日田暮らしも3年になる。ちょうど中学入学だった長男が、もう高校進学だから。早春から住み始めて、毎朝のように出る霧に、村との違いを知った。朝の濃霧は通勤時間くらいになると、晴れていき、朝陽が燦々と現れる。なんだそうだったのか。

それが底霧だった。周囲を山に囲まれた盆地気候の日田は、筑後川の本流支流が幾筋も大地を刻んでいて、放射冷却の夜は、水温との気温差で霧が発生する。それがボウルのような盆地に溜まり、町は霧の中で目覚めるのだ。透明な冬の大気を裂くように、朝陽が谷に差し込んでくる村とは異なり、数十メートル先の視界も怪しい底霧は、どこか新鮮に思えた。
底霧が快晴の証であることを知ると、その見通しの悪さも愉しみとなって、朝の散歩がそれまでとは違う気分になったものだ。少し森に入れば、植物という植物が、しっとりと水を含んでまるで深山幽谷を歩いているかの錯覚に囚われる。そう言えば、まだ見たことはないが、山上から眺めると、これはそのまま雲海であるらしい。この冬は登ってみようか。

何もない週末は貴重なリセットの時間。でも、近頃はそれもままならない。むむ。

鎮守の森もすっぽりと霧の中。町中がこんなふうになる。幻想的で悪くない。

これが通勤通学の時間帯になると、徐々に晴れていき、朝陽がようやく現れる。

 

 

by 江副 直樹 2015-10-24 22:10