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因果を知る。

2012.7.16

降りも降ったり。誰もが経験がないというほどの豪雨だった。雨、もう要らない。

避難先のホテルで、筑後川の壮絶な濁流をぼんやり眺めながら、手も足も出ないその状態に呆然としていた。そもそも僕らは、そんな自然を相手に生きているのだが、普段はすっかり日常の底に忘れている。それを思い知らされた2週間だった。

言うまでもなく、世界は僕らの想像を遥かに超えた複雑な因果関係の上に成り立っている。目に見えるものはわずかで、そうでないものは感覚すべてを動員して感じるしかない。科学も、常にそこを入り口としているはずだ。なのに、ついつい人は目に見えるものだけを信じようとする。そしてそこに重篤な落とし穴が生まれるのだ。
雨は空から降り、大地に落ち、川へ集まり、海へ流れ下る。そこここから水蒸気が上昇し、雲をつくり、また雨を降らせる。豊かな森は水を貯め、川の流れを均し、穏やかな雲が起こり、優しい雨を落とす。僕の勝手な水循環のイメージだが、当たらずとも遠からず。森の健全は、川の健全で、雨もまたそうかと思えて仕方がない。

何もできなかった連休は終わり、明日は生協三昧の一日。台風も近づいている。

道路上の小鮒。

先週、最初の豪雨で道に押し上げられた小鮒一匹。取りあえず川に戻した。

傷跡に日射し。

久しぶりの晴天は眩しい。この空からあの大量の雨は落ち続けたのである。

どこにいたのか?

それでも鳥は鳴き、虫は飛び、魚は泳ぐ。生の営みを止めることはできない。

道路消失。

時折、散歩をする林道が、ごっそり流されていた。息子よ、目に焼き付けておけ。

 

by 江副 直樹 2012-7-16 22:10